トヨタ 自動運転の未来都市構想
トヨタが、静岡県裾野市にある「トヨタ自動車東日本」の東富士工場を閉鎖したうえで、その跡地に未来型の新しい都市を開発する方向で検討に入っているという記事。
モビリティの進化を考える際、自動車単体としての構想よりも、都市のあり方そのものから構想した方が本来的な価値を最大限に出せるということだと思います。
日本では中国ほどの自由度で実験を進める事が難しいということもあり、まずは既存の街でなく工場跡地から小さく始めてみると。
構想では、東京ドームおよそ6個分にあたる26万平方メートルの工場跡地に、通信機能を持つコネクテッドカーとつながることで、家電などの遠隔操作が可能な住宅や商業施設などを建設します。
日本初のグローバルリーダーであるトヨタが、こういう大きな構想の中で更なるモビリティの進化を考えているというのは個人的に胸がアツくなります。
また、こちらの記事もご参考まで。
デジタル時代において、都市構造のあり方をゼロからリデザインするというのは、
- 「情報」の流れ方 ⇒ 通信・情報基盤の再設計
- 「エネルギー」の流れ方 ⇒ 発変電・送配電網の再設計
- 「ヒト・モノ」の流れ方 ⇒ モビリティの再設計
の3つの視点で、都市構造を構想していくということです。
そう考えてみると、“モビリティ”としての自動車は、さらに残り2つの視点にまでその役割を拡張・変容し得ます。
それは、移動体である自動車が絶えず都市情報を取得・発信しながら、あらゆるものと繋がれる(=コネクテッド・カー)という事です。
また、EV化が進むほど、もはや自動車がヒト・モノを運んでいるだけでなく、動く蓄電池としてエネルギーを運んでいるとも言えるという事です。
こうして考えてみると、トヨタの取り組みは非常に奥深く、大変なスケールでモビリティ革命を起こす準備をしているように見えて、個人的にとてもワクワクします。
モビリティのみならずあらゆる業界において、外の領域まで組み込んだ大きな世界観の構想が求められる時代になったのだと、つくづく感じさせる記事でした。
実用的なAI進化の方向性は継続的学習かも?
AIに関して、実際に手を動かした人の目線からのレポート。
うーん、面白い。
強化学習の有用性は昔から言われてきましたが、この記事にある通り勝ち負けの定義をこちらでしてあげないといけない点が難点でした。
株式投資の自動取引アルゴリズムを研究していた際もここが難点で、少しでも利ざやが出ていたら勝ちとするのか、ある程度長期トレンドを見据えて多少の上下は我慢するのを勝ちとするかで相当悩んだ記憶があります。
継続的学習である程度人間の判断を組み込むのは、原理主義的なAI進化ではなく、かなり実用的な解のように思えます。
最近サボってましたが、どんどん最新トレンドのキャッチアップをしていかないと置いてかれますね…
テクノロジー勃興時代における戦略コンサルの役割
外資大手コンサルファームであるローランド・ベルガー社が技術領域に強みを持つコアコンセプト・テクノロジー社と提携したという記事。
こういった取り組みは今後も加速していくと思います。
テクノロジーの進化がめまぐるしく進み、事業環境がテクノロジーによって大きく変わっていく現代においては、今まで担ってきたコンサルティングファームの役割と、これからになっていくべき役割ではどうも性質が異なるように感じています。
デジタルテクノロジー×ToC領域は特に分かりやすいですが、消費・体験のあり方はここ10年で大きく変わりました。
こういう時代においては、企業経営・事業創造の考え方そのものが変容してきているように思います。
戦略を立ててから実行に移すというウォーターフォール的なプロジェクト推進では、もはや事業環境変化のスピード感に耐えきれないですし、取りこぼしてしまう要素が多すぎます。
とはいえ、戦略なんか考えずに、とりあえず何かをやってみる。。。というだけでも上手くいかない気もします。
例えるなら、現代における企業経営は、一寸先も見えない濃い霧の中を進むようなもので、今までの経験と今の霧の状況から道を想像し進み方を考える(≒戦略を立てる)よりも、数メートル先に小石を投げてみてその反響を聞きながら1歩ずつ進んでみる方がずっとはやく・正確に歩を進められるようなイメージです。でも、ただ小石を投げた先に進むだけでは、本当に行きたい場所とは違う所に到達してしまうかもしれません。
そう考えると、純粋に戦略だけを考えてきた従来の戦略コンサルのケイパビリティではどうしてもクライアントのニーズに応えられなくなり、結果、小石を投げられる部隊(実行支援部隊)と一緒に進めることになります。
戦略コンサルがクライアントの進むべき方向性を一緒に考え、実行支援部隊が実際にプロダクト・サービスであったり個別施策をアジャイルで進め、その反応を見ながらまた進み方を修正していくということを超高速で回していく。。。
そういうような取り組みは今後も増えていくと思いますし、戦略コンサル側の1プレイヤーとして、我々も着実に経験を積んでいこうと考えています。
AIのブラックボックス化解消の取り組み
AIのブラックボックス化解消に向けてIBMが新技術を開発したという記事。
これはAI導入・活用の一般化に向けて期待大な取り組みですね。
機械学習の進化の過程で徐々にその有用性を認識されてきた人工知能ですが、元々研究していた身としては、AI開発のある種前提となっていた「解釈性と性能のトレードオフ」が普及の際にはネックになるだろうとは感じていました。
AIの精度が向上すればする程、なぜ性能があがったのかの解釈が難しくなるという性質は、時に開発者本人でさえ理解不能の悩みの種となります。
現状、完全にパラメータフリーの人工知能(汎用AI)の実現はまだ難しく、どこかしらかでは人間(=神)の恣意的なパラメータ設定が必要になります。
AI界隈のスラングでよく「黒魔術(笑)」と呼ばれていたりしますが、何故このパラメータだと上手くいくのかわからないけど、なんか上手くいくからこれで!的なノリで書いていたりすることも。Kaggleのトップとかでも、すごい長文の謎パラメータが仕込まれていたりします。
本件がどこまでの機械学習モデルをカバーし、どこまで中身を覗けるのかは不明ですが、「黒魔術」がただ局所最適解を求めていただけなのか、過学習しているっぽいのか、そのあたりを視覚的にテストしてくれるだけでも大分楽になりますね。
一般企業へのAI浸透は人知れず着々と進んでいくとは思いますが、一番勿体ないなと感じるのは、よく分からないけど入れると良さそうだからAI導入しよう⇒ブラックボックス過ぎてPDCA回せないのでやっぱ無し!となってしまうこと。
近頃のAI導入議論を見ているとどうもそうなりそうで怖いタイミングにしばしば立ち会います。
今回の取り組みがそういった機会損失を防ぐ方向に向かってくれれば大変嬉しいですね。